医学部と地域
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概要 †
- 首都圏の医学部について、地域との関係に焦点を当てて記す。
- 首都圏とは、首都圏整備法第1条の定義に基づくと東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県を指す。この1都3県の人口は約3500万人に上り、日本の人口の30%を占める。この範囲の国公立医学部は4校(東大、医歯、千葉、横市)しかなく、医学部受験生の動きはここにとどまらず、山梨や北関東も巻き込んだ動きとなる。理由としては、人口比医学部の少なさにある。関西圏が約1800万人に対して国公立医学部8校、東海地方が約1100万人に対して5校であり、人口比率で圧倒的に首都圏の国公立医学部が少ない。また、首都圏の交通網が高度に発達しており、北関東、山梨からでも十分に気軽に上京できる環境にある。そのため、ここでは1都3県に山梨県、群馬県、栃木県、茨城県を加えた1都7県の範囲で論じる。北関東の人口は700万人、山梨は80万人なので、1都7県で約4400万人となる。ただ、当然首都圏の場合は日本全国からも受験者が多く上京するため、他地域と異なり大変な競争率となる。
序列 †
一覧 †
解説 †
- 1都7県約4400万人の人口基盤+全国からの来訪者を支えるには国公立医学部が少なすぎる。この範囲の国公立医学部は7校存在するが、東大は関東ローカルの大学ではないので別枠として考えた方がいい。
- 4400万人に対して6校+東大ということを考えると、非常に熾烈な競争となる。ちなみに、東海地方は1150万人に対して5校、九州?は1300万人に対して7校+琉球が存在しているため、関東地方の医学部受験は他地方に比べると数倍の競争率を誇ると言える。
- 難易度や格は東大を頂点とする
- 格の序列としては、旧六医科大学の千葉、新制八医科大学の群馬、医歯と続く。
- 難易度に関しては、東大の次には東京医科歯科大学が続き、さらに少し下には千葉大学医学部、横浜市立大学医学部が並走する形で続いている。これは完全に立地に影響された結果であり、東京中心部から近いほど難易度が高くなっている。
- 医科歯科はご存じの通り東大から徒歩圏内であり、東京都中心部に位置する。千葉や横市は東京から離れていると言っても東京駅から50km程度である。この程度の距離感であれば十分に受験対象となるし、通学すら可能な距離である。
- ちなみに、東海地方の医学部では、名古屋駅から100km圏内に国公立医学部が点在しているが、それでもその大学間での志望者の流動性は激しい。
- 千葉と横市は千葉の方が難易度が高いとされる。
- 東大と東大に近似する医歯があるが、上述の通り国公立医学部の少なさ故にこの2校からあふれた超優秀な受験生を収容する医学部も少ない。その先は千葉と横市であるが、この2校の偏差値は当然高騰する。さらに、この2校で収容できるわけもなく、筑波、山梨までに優秀層は行脚していく。群馬は離れているため筑波、山梨ほどの高騰は見られない。
- 格付けにて他地域と大きく異なるのは、東京には名門私立が存在すること。慶應、慈恵、日医の3校は私立御三家と呼ばれ、慶應は下位旧帝国大学以上に、慈恵、日医は旧六医科大学に匹敵する歴史・格を有する。それ故に、首都圏出身者を中心に慶應の入学者には地帝蹴りが存在するのは良く知られている。他の私立御三家も(首都圏では)地方国医を上回る存在感を有し、首都圏の受験生には慈恵、日医へ(順天堂へも)地方国公医を蹴って入学する者もいる。学力・親の経済力のいずれも申し分ない、関東地方の裕福な医学部受験生の中には、私立御三家を目標にするものも多い。
- ただし、地方の国公立を蹴って私立に進む流れはあくまで、将来首都圏での就職を希望し、首都圏の最上位国公立に手が届かなかった者の選択肢である。私立御三家の利点である「首都圏での地盤」を求めていない首都圏外の受験生は、その選択肢を取るものはほぼいない。
難易度 †
- 東大、医歯、慶應は日本全国でもトップレベルの学力を要する。千葉も、旧帝国大学と同水準かそれ以上の偏差値を誇る。近年は、横市、筑波の難易度も千葉とそこまで変わらない。
- 河合のデータだと上位層の割合が千葉より多いほどである(横市)
- 医歯と、千葉と横市の間に大きな差がある。医歯レベルで慶應の併願成功率は半々、千葉だと最上位層だけである。慈恵との併願であれば、医歯合格生は慈恵にほぼ確実に合格し、千葉は半分程度が合格水準。
立地 †
- 都会度では、医歯の立地偏差値70が最高。東大は近隣に位置するが、周辺環境や最寄り駅の差により偏差値は63と少し劣る。だが、実質的な生活に差は出ない。
- よく比較されるのが千葉と横市であるが、この二つは明確に差がある。立地偏差値でいうと千葉が55、横市が49であり、この数値が2大学の差を表している。両大学とも大学周辺は閑散としているが、千葉が県の主要駅千葉駅に自転車県内であるのに対して、横市は横浜駅まで離れている。また、千葉駅から東京駅までは乗り換えなしで40分であるのに対して、金沢八景からは乗り換えて1時間。
- 東京に比較的近い国公立医学部というと上述の千葉と横市が挙げられるが、実は筑波大学医学部も近い。秋葉原駅からつくばエクスプレスでつくば駅までは47分であるため、東京駅からの距離感としては横市と同等であるともいえる。国公立医学部立地偏差値でも52と横市を上回っている。ただ、千葉や横市ほど過熱感がない理由としては、担当医療圏に茨城県全域が含まれ将来の就職先が首都圏からやや離れてしまう可能性があることや推薦偏重入試であることや、極端な現役一浪(特に男子)優遇傾向のある適正試験配点が挙げられる、
🏥関連病院 †
- 東京都内は他地域に比べると極めて多くの大学が入り乱れているため大学病院が地域医療に占める割合が高い。各大学の医療圏も入り乱れており、一つの病院のなかでも診療科毎にべつの大学が関連として押さえていたりする。学閥意識は他の地域に比べて弱く、市中病院も聖路加や専門病院、多くの都立病院、民間チェーンのように特定の大学支配を受けていない病院も少なくない。とはいえ東大を頂点とするヒエラルキーが形成されていることは言うまでもない。「東京の大病院は7割が東大系列」とも評されるだけあり、都内は東大の影響が非常に強い。加えて東京だけでなく、関東の多くの大学に強大な影響力を持つ。虎ノ門や三井記念のような、人気病院の部長クラスに昇格するなら、当然東大卒が有利。
- 都内に関しては医歯が国立大学で2番手だが、東大や慶應に比べると差があるとはいえ、東京近郊の関連病院は増えている。多くの都立病院、多摩地区(武蔵野日赤、青梅市立)、神奈川(みなと赤十字、横須賀共済)、茨城(土浦協同、取手協同)などの基幹病院に常勤医を派遣している。都立病院以外は系列と呼んで差し支えない。
- 千葉県内は東京都に近接している地域を除き千葉大学が支配力を持つ。その歴史の長さのおかげで主要病院の大半を抑えている。
- 神奈川県内は全体的に横市が強いが、政令指定都市である横浜市(北半分)や川崎市では慶應をはじめとする都内の大学や聖マリの影響も強い。相模原市内では北里の影響が強い。
- 茨城県内は、かつては東大、東北大、慶應、医歯からの派遣も多かったが、医歯以外の県外大学は大部分が撤退した。現在は前述の通り県南部では医歯が強いが、その他の主要病院は筑波が主流となっている。
- 山梨県内に関して、県内最大の山梨県立中央病院では首都圏の多数の大学が入り乱れている。またなぜか山梨赤十字病院は昭和系列であるが、それ以外の中小病院は主に山梨大学が支えている。
- *国公立大学が存在しない県について
- 埼玉県では防衛、埼玉(分院含め3病院)以外にも、自治、獨協、順天堂、北里の分院もあり、それらが地域医療に果たす役割は大きく、また大手民間チェーンである中央医科グループの基幹病院も複数存在する。市中病院の勢力は混沌としているが、一例として令和4年度用のマッチングでの上位5病院はさいたま市立(慶應系)、さいたま赤十字(混成、現院長は群馬大学)、国立埼玉(慶應系)、上尾中央(中央グループ、現院長は日大)、さいたま市民医療センター(混成、現院長は東大)であった。
- 栃木県は宇都宮市では慶應が強いが、その他は東大・慶應・千葉大・群馬大・獨協医大・自治医大など入り乱れている。
- 私立に関して、慶應の関連病院は東京にも数多く存在するが、都内の主要な病院は東大の影響が強く、慶應系列の有力病院は東京・神奈川・埼玉・千葉と分散している。
慶應以外の私立は、長い歴史のある慈恵や日医を含め、病院自体が系列といえるような有力な関連病院は多くはない。代わりに多くの私立は附属の本院以外に大学病院と市中病院の中間的な機能を持つ分院を抱えているほか、一つの病院を科ごと他大と分け合う形で診療科単位での関連施設を確保しているが、病院の院長クラスのポストとなると大きく水をあけられている。
首都圏の私立大の常勤ポストは昔より母校出身者が増えてきているが、未だ東大や慶應からの出向組も多い。
- 余談だが東大や慶應、慈恵といった都心の大学は一流企業や官公庁の診療所といった外勤先を多く抱えており、そこの所長などの常勤ポストを医局の伝手で得やすい。
給与水準 †
- 東京都内勤務医は全国最低水準。(特に23区内)
- 但し、医師不足の隣県(埼玉県千葉県茨城県)の郊外の方(車で2時間半レベル)に行けば、全国平均程度が見込める。
研究 †
- 東京大学は日本の最高学府であり、世界的な研究施設を数多く持つ。その研究レベルについて説明する必要もなかろう。
- 医歯は単科大学であるにもかかわらず、旧六医科大学などの総合大学に匹敵する科研費や交付金を獲得している。すなわち医学部・歯学部のみで旧帝国大学に匹敵する研究費を獲得しており、近隣にある旧六医科大学の千葉大学医学部よりも恵まれた研究環境にあるといえる。
- 千葉も旧六医科大学だけあり、研究には力を入れている。法医学研究センター、免疫・アレルギー研究センター、真菌研究センターなど特色ある研究施設を多く備えていることは特筆すべきである。学生のうちに研究に従事できる研究医育成プログラムもある。
- 横浜市立大学での再生医学の研究は特筆すべきものがある。しかしながら、財政基盤の脆弱な公立大学という事もあり、それ以外に目立った研究は行われていないのが実情である。良く言えば、特定の分野に絞って大きな成果を出すことで高いインパクトを示し、相対的に高い評価を獲得することに成功している。
- ※2022年12月現在、ノーベル医学賞受賞者はいずれの大学からも出ていない。
年齢別入学者数 †
マッチング †
- レジナビ等によれば、上記のような首都圏の人気病院では地方大学出身者は極めて少ない。地方大学から首都圏の病院を受験する者が多くないというのもあるが、それを差し引いても少なくとも健闘しているとは言い難い。
- (具体例;横浜労災病院。初期研修1年目と2年目の人たち合わせて30人いるけどそのうち27人が 関東の大学出身。受験雑誌とかに書いてある「現在はマッチング制度のおかげで自由に病院を選べるようになった」これ大嘘だよな。詐欺で訴えられるレベル 2020-10-23 (金))
- しかも、地方大生が都会で研修するためには、都会の医学部生よりも遥かに多くの時間や努力を費やさねばならないことは想像に難くない。(複数回、病院見学病院説明会に足を運ぶ・ 採用試験でトップクラスの成績を残す・ それに加え、CBTの点数が低いと面接の時に舐められる)
地方医から首都圏勤務 †
首都圏私立医学部学費サポート †
- 【埼玉県(県外大学医学生奨学金)制度 】
- 入学後に申請する。埼玉県民が他都道府県の医大(ex.慈恵)に進学する際の奨学金。高校経由で申し込むと言うこともあって100%受理してもらえる。埼玉もそれなりに金持ちだから手厚い。(千葉県にも類似制度がある)
- よって国公立の存在しない埼玉県民にとっては、こういった制度を活用して慈恵・順天堂などの首都圏私立に進学した方が、家賃負担が重くのし掛かる地方医に進学するよりも、費用の面でも将来性でも良いと言える
進級🈴 †
- 表
- 日医
- 2018年度から仮進級が復活し留年数が減り、以前のような進級基準が緩い部類に戻っている
- 国医福
- 2022年9月に発表された「6年間で医師になる割合」では、【全80大学中、1位順天堂・2位慈恵・11位慶應。】
🚅東京を起点とした新幹線料金比較 †
- 【学割・普通車・自由席】での比較。(括弧内は「ぷらっとこだま」料金)
- (補足:「ぷらっとこだま」にはドリンクと無料で引き換えられる「1ドリンククーポン」が漏れなく付いてくる。)
- (補足2:学割は、通常年間4回までしか発行してもらえない。「ぷらっとこだま」は前日までに購入する必要はあるが、何回でも買える。)
- 浜松7000円(6900円)
- 新潟9180円
- 名古屋9280円(8500円)
- 仙台9350円
- 京都11640円(10500円)
- 金沢12130円
- 大阪12080円(10700円)
- 2029年には品川名古屋間40分のリニア中央新幹線が開業する. 来年の入学者(24年入学者)にとっては、医学部6回生になった頃から恩恵に預かることができる。
首都圏人が名古屋の医学部に進学し 初期臨床研修を名古屋で行うとした場合、ゴールデンウィークや年末年始にあっという間に帰省ができると言う、現在とはまったく異なる首都圏出身者の名古屋での働き方・考え方・価値観生まれる。
- 「リニア新幹線」で変わる鉄道未来図
- 首都圏・中京圏といったくくりが過去のものになる可能性すらある。JR東海が10年に公表した収支計画の試算では、東海道新幹線の現行料金と比べると東京―名古屋間で700円、東京―大阪間で1000円のアップにとどまる。これならば、新幹線と同様に気軽に利用できそうだ。
-
- 北陸新幹線は、50%offキャンペーンは終了したものの、30%offキャンペーンは2023年3月31日まで継続。
- 背景には、羽田空港↔小松空港の割引便の存在があり、対抗するため北陸新幹線も割引を継続して実施している。
✈️羽田空港発航空チケット最安値カレンダー †
- 東京(成田)から広島航空券,春秋公式サイト
- 11月10日に12月1日の便を予約(3週間前に)すると、片道3980円。ある意味、躍進。(21日前までの予約分の料金)
- 少し値上がりはしたが、2月24日の便が5180円なので、まだまだ格安と言える。
他地域 †
北海道の医学部
東北地方の医学部
北信越地方の医学部
東海地方の医学部
関西圏の医学部
中国四国地方の医学部
九州の医学部
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