概要

 2021年1月26日、かねてより問題となっていた日本医科大学の無給医問題であるが、とうとう労働基準監督署から是正勧告が入った。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210126/k10012832961000.html
 無給医に関しては今更説明は不要かとは思うが、大学院生などの給料が発生しない医師を労働力として計算して働かせていたということだ。なぜ無給で働かせることができるのかというと、大学院生は医局には所属していて、その医局の管理のもとで研究をしているからだ。「研究の一貫」という名目のもとで外来診療をするなどしているが、日本医科大学ではその範囲が勝手に拡大し、「週4日、当直あり、正職員と同様の時間帯で働かなければいけない」という不問律が根強く浸透している。日本医科大学の大学院には毎年100名以上が入学するので、そのほどんどが無給で働いている。今回の是正勧告に対して「もう対処している。今年度から報酬を支払っている」と嘘の回答をしているので、今後も是正される見込みはないであろう。
 確かに、日本医科大学では無給医に対して2020年4月から手当を支給することとなった。1勤務半日5000円である。ないよりはましだが、圧倒的に少ないうえ、手当をもらう手続きが異常なまでに煩雑である。

  • 嘱託医として5000円をもらうまで
  1. 嘱託医としての登録をおこなう。ほとんどの大学院生が当直嘱託医として登録済みであるが、再度新規申請をしなければいけない。入職書類一式を書く
  2. その際になぜか健康診断書が必要。大学院生は毎年大学の健診を受けています。そのデータはあるはずだし、そもそも今まではなんだったんだと。
  3. 嘱託医勤務表、勤務月報(タイムカードの打刻)、リサーチアシスタント勤務表を毎月提出する。これが煩雑すぎる。ほとんど同じ内容なのに、形式の違う書類を整合性を保って3つも出さなければいけない。勤務内容まで記載しなければいけない。(例、この日は外来と病棟など、業務の割合が何対何だったかを詳細に書けと記載あり)タイムカード一つで解決する話である。
  4. 全ての書類おいて、医局長、教授の印鑑を押してもらわなければいけない。しかも、嘱託医勤務表においては1勤務ごとの確認印が必要。
  5. タイムカードは、事前申請している勤務日以外は押してはいけない。押してしまうと打刻を消すために訂正印が必要になる。つまり、「勤務している日は全てお金を払っていますよ」と大学が言いたいだけ。

問題点

 上記のように、「お金を払っている」と言ってもごく一部である。無給医は基本的に週4日以上勤務している。その一部だけを払って、「それ以外はタイムカードも押さないでください」ではあまりに悪質すぎる。上記記事への回答は完全に嘘である。また、交通費も支給していない。これは非常に大きな問題であり、そのことを隠しているのはさらに悪質である。
 一番の問題点は、大学全体が「大学院生は無給医として働いて当たり前」という雰囲気になっていることである。無給医経験のある上司が「昔は給料なんてなかった」と武勇伝を話すことはどこの会社でもあることだとは思うが、無給医経験のない医師(大学院経験なし)が無給医に対して「正職員と同等の勤務時間で働け」と言うことなど腐るほどある。なので、無給でも勤務を気軽に休むことはできず、挙句の果てには「年末年始の当直の代休とっていいよ」と言われる。「そもそも雇用関係もなく、私たちには勤務時間も休みも何も決まってないのだけど。。。代休と言われても。。。」となってしまう。この雰囲気は大きな問題であり、大学全体の質を落としている。こうした状況では他の大学医局に人材を取られても何も言えないであろう。大学はわずかに変わろうとしているが、大学に所属する人は何も変わっていないので、この闇は深いであろう。
 せめてこうした事実が多くの人の目に触れてくれればと思い記事を書かせていただいた。他にも被害報告があれば是非。

とにかく金を払いたくない日本医科大学

  • 半日労働給の5000円をもらうのに非常に煩雑な手続きを要求される。
    • 採用の書類に何度も同じことを書かされる。住所、氏名等
    • 毎月の出勤簿を3つの違う形式で書かなければいけない。その二つはほぼ同じ内容にしなければいけなく、出勤時間と退勤時間を分単位で合わせなければいけなく、間違っていると再提出。
    • もう一つの書類には1日の業務内容を事細かに書かなければいけない。(一体何の意味があるのか)
  • 交通費出さない。信じられない事態である。
  • 毎年給与振込口座の申請が必要である。前年度と同じでも申請書を書かなければいけない。申請書には「1.新規、2.継続、3.口座変更」の番号が書かれているが、この時点で1.2.3のいずれでもないのに申請しなければいけない状況である。
    • 意味不明である。大学院生であれば4年間所属し、普通は4年間振込口座も変わらない。

コメント

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  • 前途のある若い学生が過労死しない事を祈るのみ。学生は奴隷ではない。 -- [dd701-26 (火) 23:41:24};
    • [999cd476] 2021-01-27 (水) 10:26:09
  • 無給医が最も多かった次いで北海道大病院(北海道)で146人、東京歯科大水道橋病院(東京)で1人、岩手医科大病院(岩手)で123人、昭和大歯科病院(東京)で119人、愛知学院大歯学部病院(愛知)で1人と6病院で100人を超えた。  さらに、今回の調査で「無給医」と認定されたわけではないが、支給されていない理由を精査する必要があるとされた医師、歯科医師も7病院に1304人と相当数に上った。日本大板橋病院(東京)が3人と最多で、東大病院(同)239人、日本大歯科病院(同)211人、慶応大病院(同)2人と続いている。無給医の大半は、医師免許、歯科医師免許を持つ大学院生や専門医を目指す専攻医達。診療の目的が『自己研鑽』『研究』とみなされ、結果的に無給で働くことになっていた -- [6a9a841a] 2021-01-27 (水) 11:04:27
  • ここに名前出てる大学全ての記事を作れ -- [6a9a841a] 2021-01-27 (水) 11:05:02
  • 日医だけの問題ではないが、日医を中心に取り上げるのは悪くはない。注目度はあるからね。 -- [7ec8bf66] 2021-01-30 (土) 20:53:26
  • 記事ありがとうございます! -- [7e9d1b1d] 2021-04-22 (木) 22:34:27
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